2014年11月26日水曜日

村井純「角川インターネット講座 (1) インターネットの基礎情報革命を支えるインフラストラクチャー」

 村井純「角川インターネット講座 (1) インターネットの基礎情報革命を支えるインフラストラクチャー」

 東日本大震災のとき、停電にもかかわらず、携帯電話が通話可能だったことが不思議だった。基地局の電源はどうなっているのだろう、と。どうして停電の影響を受けないのだろう。
 太陽電池なのだろうか。電線が別系列なのだろうか。それとも電源を必要としないのだろうか(昔の黒電話をイメージしていた)。
 その答えが本書に載っていた。
 バックアップのバッテリーがあったので3時間ほどは使えていたらしい。
 今はそれを24時間ほどに拡張することが考えられているという。

2014年11月24日月曜日

笠井潔/白井聡「日本劣化論」

 笠井潔/白井聡「日本劣化論」

 このところ考えていたり、感じていた違和のいくつかのことに答え(なのか?)を得た。無知ゆえに気づいてなかったこともふくめて。
 たとえば、ウクライナ騒乱スコットランド独立住民投票などを見て世界的に独立運動が活発になっているのではないか、と思っていたのだけれど——香港のデモもあり——、日本でも沖縄の独立運動ということがありうるという認識はまったくなかった。
 なんとなく、アメリカからの沖縄返還ということがあったので最初から日本の一部だと思っていた。たしかに元々は琉球王国として別の国だった。

 それにしても「(憲法)九条支持と安保反対は両立し得ない」という話には唖然としてしまった。あきれた、という意味ではない。逆だ。論理のバックグランウドには「例外社会」で示された考え方——冷戦もまた、世界国家を析出するための闘いだった、という——あるのだが、おそらく311を経て深化した考えなのだろう。
 「例外社会」で提示された「複岐する実存」——今だによくわかっていない——は放棄されたのか、どうか、わからないが、その前に国家の解体ということを視野にいれていれはじめているらしい(以前からだったかもしれないが)。
 たのしい。
 へんな言い方だけど。

2014年11月19日水曜日

デイヴィッド・エプスタイン「スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?: アスリートの科学」

 デイヴィッド・エプスタイン「スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?: アスリートの科学」

 なさけない話なのだが、読んでる途中まで遺伝子についての本だということに気づかなかった。タイトルであきらかだったのに。——アホだ。しかし、まぁ、取り上げられている様々なアスリートの話がおもしろかったということもある。男女の性差の話とか。スーパーベイビーの話とか(範馬勇次郎を思い出した)。体型のビッグバンの話とか(19世紀終りごろに起きていたらナチスもアーリア人こそ優越人種などと唱えなかったのではないか、とかと考えたり)。
 遺伝的な決定論について作者がどのように考えているか、は本書にゆずるとして「一万時間の法則」が実は平均の一万時間だということを知ってショックをうけた。「マルコム・グラッドウェル「天才! 成功する人々の法則」を読んだとき、なんとなく、どの分野でもトッププロは一万時間の練習時間の蓄積がある、というニュアンスに受けとっていたのだが。
 平均だったのかぁ。
 それなら早熟の天才があらわれたり、大器晩成したりしてもおかしくないってことになるよなぁ。なんとなく騙された感がある。

2014年11月16日日曜日

野口悠紀雄「仮想通貨革命---ビットコインは始まりにすぎない」

 野口悠紀雄「仮想通貨革命—ビットコインは始まりにすぎない」

 ビットコインについてぽつぽつといろいろ考えていたこととはまったく関係なく、この本を読み終わってふと思った。公開鍵暗号ってすごいブレークスルーなんじゃないか、と。いちおう、公開鍵暗号については知っていたのだけれど、これがコンピュータなしでは実現できないことだということにようやく気づいた。
 コンピュータでやっていることはかつてはコンピュータなしでやっていたことばかりだ。もちろんかかるコストはちがうし、処理速度もちがう。コンピュータがなくなったところで、会社の会計処理は行なわれえるだろう。
 ところが公開鍵暗号による身元証明と盗聴防止は不可能だ。
 コンピュータで行なうタスクのたいがいは現実の(コンピュータなしの作業の)写像だけど、公開鍵暗号はちがう。これはつまりコンピュータによる質的な拡張といえるんじゃないか。
 すごいな、コンピュータ。

2014年11月14日金曜日

anything(persistent-action)

 anything-booksは通常のanythingとはちがってpreviewがあるのがいい。
 で、ちょっとやってみたいことがあって自前の「anything-*」を作ってみようと思ったのだが、半日ほど苦しんでしまった。previewのために、「persistent-action」を設定しているのだが、それがうまく動かない。
 anything-booksでは動いているみたいなのに。
 なぜだろう。
 結局、anything-booksがなぜ、動くかはわからなかったのだけれど——非同期処理は関係なさそうだった——、「anything-follow-mode」を設定してやれば、「persistent-action」は有効になるようだったので「delayed-init」で呼ぶようにした。

 ようやくすこしはanythingが使えるようになったかなぁ、と思っていたらhelmになっていたよ、世の中は……。

2014年11月12日水曜日

平野耕太「ドリフターズ」(4)

 平野耕太「ドリフターズ」(4)

 こんなおもしろいマンガ、はじめてだ。
 経験したことがない。
 正直、「HELLSING」が終わったとき、次の新連載にはあまり期待してなかった。「HELLSING」は傑作でこれを超えるのはむずかしいだろう、と。ところがそんなことはなかった。前巻までもさすが平野耕太だ、おもしろい、「HELLSING」はまぐれじゃなかったのね、とか思っていたのだが(何、この上から目線)。
 4巻で完全にノックアウトされてしまった。すげーよ、これ。これは完結してしまうまで死ねんな、と思ったほどだ(そういえば、「HELLSING」のときも同じようなことを考えた)。

 それにしても

 正しい
 君達は正しい海洋国家
 商業国だ

 というさりげないセリフの凄さは何だ。
 裏にどれだけの知識があるのかと考える慄然とする。あるいは信長が「桶狭間あたりからやりなおしてぇ」とか、吐くセリフとか。しかもただ知識量が豊富というのではなく血肉になっているからこそ、という凄さ(こちらの知識がなさすぎだけかもしれないが)。

 しかしなぁ。
 5巻は確実に1年以上、待たされるんだろうなー。

2014年11月7日金曜日

anything-books

 なんだかんだとPDFがそれなりにあってどうすんべぇという話だ。
 自炊本とか、マニュアルとか。FirefoxのScrapBookに放りこんだりしていたのだけれど、どうもよろしくない。重すぎた。Evernoteに突っこむという手もあるんだけど、ローカルのDBファイルが1ファイルだからなぁ。pdumpfsでのバックアップが意味なし君になってしまう。
 で、思い出したのが、anything-books。もう4年も前か。

 「evince-thumbnailer」はなかったのでMATEのものを、viewerもローカルにあるものを使うことにした。ついでにmigemoもインストール。

(require 'anything-books)
(setq abks:books-dir "****")
(setq abks:mkcover-cmd '("atril-thumbnailer" "-s" size pdf thum))
(setq abks:open-command "qpdfview")

 悪くなかった。
 どうして今まで使かってなかったんだろう?

 ただ、自炊本とマニュアルをいっしょにあつかうのは嫌だなぁ、と思って次のようにラップしたものを二つ、つくった。うん、悪くない。これなら起動するviewerもちがうものにできる。

(defun y-manual()
"anything-booksを使ってmanual一覧アクセス"
(interactive)
(require 'anything-books)
(let ((abks:books-dir "****/manual/")
(abks:mkcover-cmd '("atril-thumbnailer" "-s" size pdf thum))
(abks:open-command "qpdfview"))
(anything-books-command)))

2014年11月5日水曜日

ザック・スナイダー監督「エンジェル ウォーズ」

 ザック・スナイダー監督「エンジェル ウォーズ」

 「Sucker Punch」の予告編が最高にかっこよかった。
 Youtubeで関連動画を観まくり、公開されたら絶対、観に行かなきゃあな、と思っていたらなんとすでに公開されてしまったあとだった。海外にアップされた動画ばかり観ていたので全然、気づかなかったのだ。ザック・スナイダー監督の「エンジェル ウォーズ」がそれである。
 しかたないのでAppleのオンデマンドで視聴した(ちょうど配信が開始されていてそれで公開されていることに気づいた)。
 いわゆる夢と現実を行き来するタイプの話で——「エルム街の悪夢」とか、村上春樹の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」みたいな——、でも三重構造というのはめずらしい。はじめて観たような気がする。

 現実:精神病院
 夢:キャバレー
 夢の中の夢:ハイパーアクション空間

 「夢」と「夢の中の夢」は強く関連していて、「夢」の中での逃げ出すためのアイテムを手に入れるための行動が「夢の中の夢」のハイパーアクションにシンボライズされている、という構造になっている。「夢」と「夢の中の夢」を何度も行き来して最終的にある女性のみが脱出に成功する……。そのためもあってなんとなく、ハッピーエンドっぽい終わりになっているのだが、いろいろ考えていたらけっこうきついラストだと気づいた。
 たとえば「ドグラ・マグラ」のような一場の夢。
 うーん、すごいな。
 あとで考えて印象がすっかりかわってしまう映画というのもあるんだなぁ。
 今でも思い出すたびにちょっと悲しくて涙ぐんでしまう。