2015年8月24日月曜日

笠井潔「哲学者の密室」

 笠井潔「哲学者の密室」(上)
 笠井潔「哲学者の密室」(下)

 最初に出版されたハードカーバーの「哲学者の密室」には手がでなかった。書店ではじめて見かけたときからタイトルに心魅かれて読みたい、と痛切に思っていたのだけれど。あまりにも本がぶ厚く、文庫か、せいぜい新書でしか、本を読んでなかった当時のぼくには敷居が高すぎた。
 シリーズの四作目ということもある。
 当時、未読だった「バイバイ、エンジェル」「サマーアポカリプス」「薔薇の女」のことは承知していたし、それを読んでからだな、と思って書店に行くたび、背表紙を眺めていた。
 それがノベルズになり、文庫にもなってしまった。なんとか「バイバイ、エンジェル」と「サマーアポカリプス」——実際に読んだのは「アポカリプス殺人事件」という角川文庫版——まで読んだのだけれど。
 それが何の気の迷いか、いきなり「吸血鬼と精神分析」を読んでしまった。シリーズ六作目である。三、四、五作を読んでいなくても非常におもしろかったし、問題なかったのだが、ただ一点、違和感があったのが、語り手のナディア・モガールと矢吹駆の関係。たぶんシリーズにしたがって変化しているのだろう。あわてて笠井潔「薔薇の女―ベランジュ家殺人事件」を読んで、ようやく「哲学者の密室」にたどりついた。
 あまりに凄い作品で、唖然となってしまった。
 何これ。もしかしたらここからさらにレベルアップしていっているのか、このシリーズ。

2015年8月20日木曜日

ジョージ・A・ロメロ監督「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」

 ジョージ・A・ロメロ監督「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」

 あまりの傑作ぶりに見終わって茫然としてしまった。
 「ランド・オブ・ザ・デッド」も悪くなかったけれど、こちらは半端ない傑作だった。ゾンビ映画という意味では最高傑作の「ゾンビ」にはおよばないかもしれないが、映画としてみると、こちらもすばらしい。むしろ好みだ。
 最近、多い映画の中で撮影された映像を観ている、というスタイル—— マット・リーヴス監督「クローバーフィールド/HAKAISHA」とか——を採用しているのだが、その究極ともいえる映画かもしれない。

2015年8月18日火曜日

荒木飛呂彦「荒木飛呂彦の漫画術」

 荒木飛呂彦「荒木飛呂彦の漫画術」

 肘の位置はウェストにあわせるのがデッサンのコツだそうだ。
 それを知って荒木飛呂彦の絵から感じていた違和感に納得がいった——以前から荒木の人物の手足がひょろ長く感じられてしかたなかったのだ。たぶん荒木飛呂彦がそういう体型なのだ、とは思っていたのだが。
 肘の位置をウェストに合わせていたとは。
 実はぼくの肘の位置はウェストよりもかなり短い。手足が短いチンチクリンな体型をしている。だから肘の位置をウェストに合わせたデッサンに違和感を覚えていたのだろう。

2015年8月17日月曜日

冲方丁「光圀伝」

 冲方丁「光圀伝」(上)
 冲方丁「光圀伝」(下)

 すばらしい。非常におもしろかった。
 とくに下巻の途中から読むのを止めることができず、徹夜してしまい、最後には現代的ともいえるテーマが露になったときには絶句してしまった。
 時代小説とはいえ、現代の小説ということなのだろう。

 それにしてもテレビドラマの「水戸黄門」の黄門様のふぉふぉふぉ、という笑い顔がどうしても頭に浮かんでしまい、それをふりはらいながらの読書であった。

2015年8月14日金曜日

スティーヴン・ソダーバーグ監督「アウト・オブ・サイト」

 スティーヴン・ソダーバーグ監督「アウト・オブ・サイト」

 いやぁ、おもしろかったぁ。
 今まで観たエルモア・レナード原作の映画の中で一番、満足したかもしれない。それにしてもまったく作品とは関係ないのだけれど、最後の方にナンシー・アレンがでてきてうれしくなってしまった。「キャリー」でジョン・トラボルタとともにいじめっ子役をやったナンシー・アレンである。「ロボコップ」の女性警官のときのようにショートカットだった。
 しかも「殺しのドレス」のときのように下着姿のサービスカットを一瞬、披露するという……。さすがにオバさんになってしまっていたが。うれしかった(下着姿がではない)。

2015年8月13日木曜日

オッドアイ

 ゴルバチョフの目の色が変だ。
 ロシアのあの人はではなく、うちに新しく来た猫。左右の色がちがう。調べてみると、どうやらオッドアイというらしい。

2015年8月11日火曜日

ジョージ・A・ロメロ監督「ランド・オブ・ザ・デッド」

 ジョージ・A・ロメロ監督「ランド・オブ・ザ・デッド」

 さすが、ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビは一味ちがう。
 おもしろいわー。
 まわりの世界はゾンビだらけなのに、金目当てで街をふっ飛ばす、と脅しをかけるのもおもしろい。普通、ありえねーだろ、そんなこと——金なんて無意味だろとか思うのだけれど、ロメロ監督の手にかかると、わざとそういう設定にしているんじゃないか、と思わさせられてしまう(ほんとうに意識的にそういう設定を選んだのかもしれない)。
 生き残った人間もまた、ゾンビと同じように今までと同じに行動してしまっている、と不思議な気分になる。

2015年8月10日月曜日

ネズミか!

小さいときにも「トムとジェリー」のジェリーみたいだと思っていた。猫なのに。最近、ますます、でかい白ネズミみたいだ、こいつ。

2015年8月7日金曜日

デイビッド・クローネンバーグ監督「ザ・フライ」

 デイビッド・クローネンバーグ監督「ザ・フライ」

 さすがクローネンバーグ。
 主人公が壊れはじめてからが本領発揮で、気色悪くてすっかり目が離せなくなる。ラストなど、ジャン=ピエール・ジュネ監督「エイリアン4」と似た哀しみすら覚え、涙ぐんでしまった。

2015年8月6日木曜日

ケヴィン・グルタート監督「ソウ 6」「ソウ・ザ・ファイナル」

 ケヴィン・グルタート監督「ソウ 6」
 ケヴィン・グルタート監督「ソウ・ザ・ファイナル」

 ようやく「ソウ」の続きを観た。
 「5」でパワーダウンしてしまったか、と思っていたけれど、どうしてどうして「6」では最後に、やられたっ、と唸ってしまった。これって叙述トリックやん、と。すっかりだまされてしまった。

2015年8月5日水曜日

ロン・アンダーウッド監督「トレマーズ」

 ロン・アンダーウッド監督「トレマーズ」

 ロードショーのときに何の予備知識もなく、偶然、観てすぐに、ヒャッハーッ、とうれしくなった一本1。ツボに入りまくりのB級映画だった。何年かぶりに(十何年?)、観てまた、ヒャッハーッ、となった。やはりおもしろい。好きだわ〜、こんな映画。

Footnotes:
1

ほかには「ザ・コア」がある。

2015年8月4日火曜日

テイラー・ハックフォード監督「PARKER/パーカー」

 テイラー・ハックフォード監督「PARKER/パーカー」

 予告編を見たときはすぐに気づかなかった。
 いつものジェイソン・ステイサムのアクションものか、と思っていた。ふと気づいた。えっ? パーカー?
 おいおい、まさか、リチャード・スタークの悪党パーカーが原作か?
 俄然、観る気になった——リチャード・スタークは読んだことはないけれど、本名(だったと思う)のドナルド・E・ウェスクトレイクの「ホット・ロック」はお気に入りだった。もっとも最初は本ではなく、ロバート・レッドフォードが主演していた映画の「ホット・ロック」だったけれど。
 ストーリーにひねりが効いていて、ジェニファー・ロペス演じる薹が立ちはじめた不動産セールスレディもいい。ラストの終わり方も。いやぁ、満足。
 最後のテロップに「ドナルド・E・ウェスクトレイクに捧ぐ」の一文がでてきてにやりとしてしまった。