2009年10月26日月曜日

ゼノンのパラドックス

ゼノンのパラドックス

あるところにアキレスと亀がいて、二人は徒競走をすることとなった。しかしアキレスの方が足が速いのは明らか(注:イリアスにおいてアキレスの枕詞の一つは「駿足の」である)なので亀がハンデをもらって、いくらか進んだ地点(地点 A とする)からスタートすることとなった。

スタート後、アキレスが地点 A に達した時には亀はアキレスがそこに達するまでの時間分先に進んでいる(地点 B)。アキレスが今度は地点 B に達したときには亀はまたその時間分先へ進む(地点 C)。同様にアキレスが地点 C の時には亀はさらにその先にいることになる。この考えはいくらでも続けることができ、結果、いつまでたってもアキレスは亀に追いつけないことになる。

ゼノンのパラドックスの中でも最もよく知られたものの一つであり、多数の文献は彼の手に帰しているが、歴史家パボリノスの説によれば、この議論を創始したのはパルメニデスであるという

 実ははじめてこの話を読んだとき、うまく理解できなかった。
 パラドックスと認識できなかったのだ。
「いつまでたってもアキレスは亀に追いつけないことになる。」の「いつまでたっても」というのがまちがっているだろうとしか、思えなかった。パラドックスの前提は進む距離をどんどん細分化しているわけど、記述されていないことがある。時間もまた、無限に細分化している。進む距離が小さくなったということはその分、かかる時間も小さくなったということなのだから。
 つまり「いつまでたっても」というのではなく、ある時点(アキレスが亀を追い抜く瞬間)までの距離と時間を無限に細分化しているだけ――そうとしか、思えなくてパラドックスではなく、ただの嘘じゃん、としか、思えなかったんだよね。