2016年8月31日水曜日

ヨーゼフ・シュンペーター「資本主義、社会主義、民主主義」

 ヨーゼフ・シュンペーター「資本主義、社会主義、民主主義」(l)
 ヨーゼフ・シュンペーター「資本主義、社会主義、民主主義」(2)

 読んでいる途中で何度もこれっていつ書かれたんだっけ、と思ってしまうほど、今の状況のことに書かれているような気分になった1。ただし資本主義についてのことだけで——社会主義についてはどこか、納得し切れなかった。
 それはすでにソ連が崩壊した世界に生きているから、ということもあるけれど——それだけではなく、著者が社会主義について語るとき、外部のことを無視しているからだ。国内のことだけ語れば、著者のいうとおりなのかもしれないが。結局、ソ連は資本主義の経済競争に負けた。そういうことじゃないのか?
 ただ、著者は資本主義が極まった結果、社会主義に移行する、と考えているらしく——資本主義と社会主義が対立するものとも考えていないらしい——マルクスもそうだった、と著者はいっている。
 そういう意味ではほんとうの社会主義というのは今だおとずれていない、ということになるかもしれない。

Footnotes:

1

書かれたのはたぶん第二次大戦中。