2016年8月22日月曜日

シッダールタ・ムカジー「がん‐4000年の歴史」

 シッダールタ・ムカジー「がん‐4000年の歴史」(上)
 シッダールタ・ムカジー「がん‐4000年の歴史」(下)

 乳がんのマンモグラフィーを毎年のように受けない方がいいという話は知っていたけれど——偽陽性の問題で、あまり意味がない——、同じように癌の摘出手術も良好な結果は得られていないらしい。
 つまり身体を切り刻まれ——化学療法や放射線治療をしても延命年数はかわらない。癌の種類によっては有効な手立てがあるらしいのだけど。
 実は骨髄移植はけっこういける治療法だとずっと思っていたのだけれど——NHKか何かのドキュメンタリーでそういう印象を受けていた——、ところがそうでもないらしい。治療に耐え切れず、亡くなる人間も多い。テレビのドキュメンタリーでは生き残ったの人間を放送しているだろうから生存者バイアスがどうしてもかかってしまっていたのだろう。
 マンモグラフィーの話を知ったとき、自分の年齢からいって癌になったとしても治療は受けないと決めていたのだけれど——痛みを何とかするという前提だけど——、ちょっとその自信がなくなってきた。というのも、患者が癌の向かい合ったとき、治療してくれと強く望んでいるようなのだ。ターミナルケアをすすめる医者と、治療をすすめる医者ではどうしても後者を選んでしまうものなのだろう。