未来予測なんてこんなにも当たらないもんだよ、という本か、と思っていたら全然、ちがっていた。Google、Apple、Facebookなど、ITの巨人はどれもアメリカ発だという指摘にははっとしてしまった。おもしろい。
ただ、筆者——対談本なので対談者?——のひとり小飼弾の提唱するベーシックインカムについての話がでたとき、違和感を覚えた。小飼弾「働かざるもの、飢えるべからず」のときはおおっ、その手があったのか、すばらしいと思っていたのだが。
F・A・ハイエク「隷属への道」の影響だろう。
生殺与奪権を政府に完全に握られてしまうのはまずいのではないか。
もし小飼弾のいうベーシックインカムが実現されたら、ベーシックインカムに依存する人間はまちがいなくでてくるだろう。それ自体は悪いとは思わないし、おれなんか、まさにそうなるだろう(確信がある)。しかし、そういう人間は政府——国に生殺与奪権を握られていることと同じになる。そうなったとき、国に食わせてもらっているのだから御国のために尽せ、というドグマに抗えるだろうか……。むずかしいのではないか、大部分の人間にとって。