おもしろい。
二点、目から鱗が落ちた。
——「首都圏直下型の大地震か、今後30年間に起きる確率は70%である」
これについてはいっていることがうまく理解できず、考えたことがあるのだが(頭の中だけで)、どこからこのような話がでてきたか、本書で概説してくれている。とくに
関東大震災を引き起こした相模トラフ地震の繰り返し期間は、400年程度と推定されています
ということには、何だ、東京から逃げ出す必要ないじゃん、と思ってしまった。これで明日、関東大震災に遭遇したとしてもそれは運が悪かった、というレベルじゃないか。ひどい目にあうだろうから、そうもいってられないだろうけど。 それにしても本書が出版されたのは東日本大震災以前なので、筆者が宮城の大学へ転職したとき、友人から「東京に地震が来るってときに仙台へ行くとは…………つくづく悪運の強い奴だな」といわれた、というエピソードにはへんな感慨が覚えた。
もう一点は人口ボーナスについて。
日本の高度成長期は人口ボーナスの結果だという説があるのだけれど——だから高齢化する日本はもうだめだ、という結論になる——、どうやらこれは役割としては大きくなかった、という研究結果があるらしい。
1957年から1970年の間は、全要素生産性がとても大きな役割を果たしていたことがわかります。この頃は、欧米の進んだ技術を取り入れることで、劇的に生産性が上がっていたと考えられます。
おおっ、たしかに指摘されれば、高度成長期はベビーブームで人口が急増したこともあるけれど、インフラが——田中角栄の「日本改造論」ですな——急速に進んだ時期でもあるのだった。