それが小学生のときだったのか、中学生のときだったのか、よく覚えていないのだが、教師のところに質問に行った。数学の質問で、四角形の内角の和について、だった。
ある四角形の内角の和が360度にならないような気がしたのだ。
どんな四角形からというと、鏃のように一角が内側に凹んだ図形だ。ぼくは教師に説明した。どういう風に説明したのか、まったく覚えていないのだが、最終的には、内角の和が360度にならないでしょう? どうしてなんでしょう? と答えを求めた。どこか、勘違いしていたはずなのだが、それが知りたくて教師に質問しに行ったわけなのだが――。
そのとき、教師はこう答えたのだった。
――これは四角形じゃない、と。
なんという目から鱗。
なんてことはなく、当時のぼくですら唖然とした。
今さら口をきわめて罵っているところだ。それ以前に質問に行かないだろうが。
ちなみに当時のぼくはおそらく「内角」の場所をまちがっていたのだろう、と思う。