2009年4月25日土曜日

土から離れて……




 今、ラピュタがなぜ滅びたのか、私よくわかる。ゴンドアの谷の詩にあるもの。
 土に根を下ろし 風と共に生きよう
 種と共に冬を越え 鳥と共に春を歌おう
 どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんのかわいそうなロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ。

            ――宮崎駿監督「天空のラピュタ」より


 クライマックスのシータの感動的なセリフだ。
 このセリフを聞くたびにうーん、と唸ってしまう。そうだ、と思っているからではなく、ちがうだろ、と突っ込みをいれているためだ。
 人類が農業をはじめたからこそ、科学文明は発達したのではないか。ラピュタを生んだのはまさに土に根を下ろし、くらしはじめたからではないか。それを「土から離れて生きられない」と批判するのは欺瞞というものではないか……と。