今、ラピュタがなぜ滅びたのか、私よくわかる。ゴンドアの谷の詩にあるもの。
土に根を下ろし 風と共に生きよう
種と共に冬を越え 鳥と共に春を歌おう
どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんのかわいそうなロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ。
――宮崎駿監督「天空のラピュタ」より
クライマックスのシータの感動的なセリフだ。
このセリフを聞くたびにうーん、と唸ってしまう。そうだ、と思っているからではなく、ちがうだろ、と突っ込みをいれているためだ。
人類が農業をはじめたからこそ、科学文明は発達したのではないか。ラピュタを生んだのはまさに土に根を下ろし、くらしはじめたからではないか。それを「土から離れて生きられない」と批判するのは欺瞞というものではないか……と。