本書で書かれているレトロウィルスが進化に影響を与えたという可能性については、小松左京の「はみだし生物学」ですでに読んでいた。1985年、新潮文庫版で。なので目から鱗ということはなかった。「はみだし生物学」は1980年の出版なので小松左京すげえ、なのだけど 1。
「はみだし生物学」では他の生物の遺伝子を運ぶ、という形の想像だった、と記憶している。
本書であげられている進化の推進力
- 突然変異
- 共生進化
- 異種交配
- エピジェネティクス
「はみだし生物学」の捉え方はどちらか、というと「異種交配」に相当する。
「破壊する創造者―ウイルスがヒトを進化させた」のレトロウィルスがらみは「共生進化」で、レトロウィルス自体の遺伝子が組み込まれ、それが影響を与えているという話だ(レトロウィルスとの共生)。
胎生が可能になったのもその影響だ、と。
そういえば、恐竜は卵生だったし、鳥類は今だに卵生だ。どうして哺乳類だけが——もっとも哺乳類という言葉自体、胎生をあらわしているわけだけれど。
もしかしたら胎生というのは卵生よりも進化的に有利だったのだろうか。
恐竜が都合よく滅びなくても進化的な覇権は哺乳類に移っていたのかもしれない。
Footnotes:
1
DNAに逆転写するという話を聞いたらだれでも想像してしまうよね、という話ではあるけれど。