2014年3月3日月曜日

市川崑監督「犬神家の一族」/横溝正史「犬神家の一族」

 市川崑監督「犬神家の一族」
 横溝正史「犬神家の一族」

 映画もたいがい、傑作だったけれど、原作はそれ以上だった。
 しかも映画を観てから読んですっかりネタがわかっていたにもかかわらず。ただ、読み終えるまで実は内容はすっかり忘れているけれど、中学のときに読んだとばかり、思っていた。
 というのも犬神家がどうして隆盛をきわめたか、ということについて記憶があったからだ。テレビで放映されたとき、ちらちらと断片的に観てそのネタに触れて、ああ、そうだったよな、とか思った記憶があったのだ。
 それに通して映画を観た覚えはなかった。
 ところが読み終えてみると、原作では犬神家がどうして隆盛をきわめたか、なんてそんなネタはなかったのだ! 見落としただけかもしれないが、どうやら映画のオリジナルの話だったらしい。つまりぼくはテレビで断片的に観たときと、通して観たときがあってそれでどちらかを原作を読んだときの記憶とかんちがいしていたのだろう……。

 それにしても「私はしかし(中略)いまもなお、勝ってくるぞと勇ましくと、日の丸の旗をふって送られた、あの当時の日本人だとばかり信じていたんです」という科白は映画の中でもあったと思うのだけれど、小説では胸に迫るようだった。