2013年1月5日土曜日

トラブルはある日、突然に(4)

  •  2012-12-31(月)
 翌日になっても状況は好転しなかった。
 お立ち台を認識しないのは夢ではなかったし、ftpも未開通。
 おもいついたのはネットには繋がるのだからDropboxのサイトから直接、ダウンロードすりゃあ、いいじゃないか、ということだった。で、ごっそり落とした。ファイルはzipにアーカイブされている。
 ところが解凍に失敗した。
 わけがわからん。
 他にデータを移す手はないか。移す手はありませんか。
 いろいろやっているうちにふとした拍子でPC-BSDがUSBメモリを認識していることに気づく。これは使えるのか——さっそく、データをUSBメモリにつっこむ。移行しはじめてすぐにここで日本語名のファイルが見えないことに気づく。
 んー、しまったなぁ、と後悔するももう遅い。
 昔——FreeBSDをメインにつかっているころならそんなことはしなかったのに。ファイル名を日本語にするなんてことは。
 すっかりWindowsや、Macを使うようになっていたので油断した。
 それでも全体としては数は少ないし、そういうファイルは必要ではない。
 しこしことUSBメモリでファイルをPC-BSD環境に持ち込んだ。必要そうなEmacsのライブラリも(SKKとか、Elscreennとか)——なにしろ、packageが使えないから手作業で突っこむしかない。
 何とか、完了し、あとはEmacsの環境構築という段取りになった。
 ここでThinkPadを持ってスタバへ行った。バッテリー環境でどの程度、動くか、確認するためだった。ネット環境はないが、ローカルに持ちこんだもので作業では継続できるはずだった。
 大晦日だというのに、混みあった店で席を確保してEmacsの設定をはじめる。
 はじめて触れるEmacs 24だった。実は23も使ったことがない。
 ファイルコピーがサブディレクトリごとできるようになっていて驚く。カーソル移動も若干、動作がかわっていた。
 作業は進まなかった。
 PC-BSDにはIM(インプリメントメソッド)がはいっていたのだが、それがEmacsのキーアサインと被っていたため——それに気づくまで謎の動きに悩まされる。突然、IMが日本語モードになるのだ。
 それをクリアし、ダンジョンはいよいよ次の段階へ。
 Emacsにライブラリを突っこむ——しかし、それにしてもバッテリー駆動では妙に遅い。キーの反応が粘りつくようだった。Ubuntuほどではなかったが。CPU処理そのものが重い感じなので、ディスクをSSDにすれば、解決するというものでもなさそうだ。
 こりゃあ、だめかも。使えないかも。
 さらに手作業で突っこもうとしたライブラリがうまく、ロードされない。うーむ。問題を調べてみる気力はなかった。キーの反応の遅さに暗澹としていたし、キーボードの設定をまちがっていてアルファベットはいいのだが、記号がキートップの刻印とちがっていた。これがひどくストレスだった。
 帰った。嫌になった。
 もうMacbook Airを買うしかない、と考えていた。
 Xfceのデスクトップ環境自体はいい感じだったのだが。

 この数日で何度も見たApple Storeへまた、アクセスする。
 買うぞ。買うしかないんだ。さあ、買え。Macbook Airのオプションを選ぶ。そこで指は止まる。金はない。でもまったく出せないわけではない。どうする。Macbook Airにしたところですぐに使えるわけではないことはわかっていた。
 Emacsをもってきて設定しなければ、ならん。
 それなら——。
 PC-BSD 9.1の問題点は結局、pakeageが使えなかった、ということに尽きる。
 Emacsに必要なelispライブラリをそろえられなかった。では——PC-BSD 8.2はどうだろう? 使えるんじゃね?
 気づくなよ、自分、とは思うが、気づいてしまった。
 インストールディスクを作成してPC-BSD 8.2をインストール。
 何度目のインストール作業だ。
 実はこの作業にもかなり苦労した。欲張ってファイルシステムをZFSにしようとしたために何度となく、失敗を繰り返してしまったのだ。あきらめてUFSにしてらあっさりと成功のだからやはり原因はZFSだったのだろう。
 動かしてみると、デスクトップ環境はXfceではなく、KDEだった。
 そして、9.1と同じでftpはあいかわらず開通できず。お立ち台も認識しない。その上、packageがうまくインストールできなかった。portsもだめだった。
 なぜーっ。
 絶叫しそうになる。よくよく見てみると、FreeBSDのバージョンが8.2ではなく、8.2 PRERELEASEとかになっていた。うわー、嘘。9.1もプレバージョンだったんだ。
 試行錯誤のしすぎにげんなりしてしまった。
 ここでFreeBSD 8.3をまた、インストールしたらUbuntuからここまで何の作業だったんだ、ということになるようなぁ。でもMacbook Airを買わないのなら残る手立てはFreeBSD 8.3だけなんだよなぁ。

 でも結局、FreeBSD 8.3をインストールした。
 ThinkPadを動かし、構成し、設定し、FTPを開通し、FFTPでDELLからデータを多量にいれている途中でお立ち台が使えることを思い出して、お立ち台からデータを移した。この作業は以前にくらべると、あっさりと済ませることができた。
 それはそうだろう。
 何度となく、UbuntuからPC-BSD 8.2まで苦労してきたのだから。
 その経験が生きた。
 そう思わなれば、やってられないぜ、まったく。