下道五時間かけて到着した本栖湖は吹いていた。
1時半すぎ。
ばたばたとセッティングしていたらスキニーマスト用のアダプタが割れた。
こんなこともあるんだ。
ほかにもトラブルがあった。さすが1年ぶりである。しかも何も確認してこなかった。航跡を記録するためのGPSロガー——EveryTrailというiPhoneのアプリが消えてしまっていたのだ……orz。1
動画撮影にも使用しているiPhoneは去年の最後のウィンドの時に思いついたやり方でマストトップカメラをセットした。ちょっと遠いが、カメラの揺れはそれほどではない。悪くないかも。
富士山にはまだ、雪が残っている。そのため雪解け水が流れこむ本栖湖の水はとても冷たかった。さすがにラッシュガードでは夕方になると死ぬかもしれない。セミドライに着替えた。身体が濡れていたので——太ったこともあって——ものすごく苦労する。両手の握力がなくなってしまった。
Vidometerという動画撮影用のアプリには速度計がついている。なのでEveryTrailがなくてもまぁ、いいか、と思っていたのだが、機内モードにすると、GPSが使えなくなるとは知らなかった。しかも画面固定モードにしていたのでカメラの向きがおかしい。——といってもそんなことに気づいたのはもっとあとのことで。
今度はセイリング中にiPhoneを固定していたマストトップのアダプタが破損した。
事ここに至ってようやく、セッティング中にスキニーマストのアダプタが壊れたのは実は伏線だったのだ、と気づいた次第。なんてことだ。
しかたない。
ヘッドマウントカメラにしようとしてハウジングの部品を浜に落としてしまう。一時間ほど、さまよい歩いてあきらめかけたころ、偶然、発見。事なきを得る。当然、そのあいだに、風は落ちてしまっていた。
しかも電池が切れた。
ここだけは準備しておいたMacBook Airで充電。
夕方のひと吹きに期待していた。そのために苦労してセミドライに着替えたのだ。ところが、吹き上がらない。あきらめてセイルをばらして車に片付けようとしていたときだ。
吹き上がってきたのは。
さいわい、セミドライはまだ、着ていた。
迷いに迷った末、セイルをセッティング。あわてて湖へ出た。
もうオチはわかっている。
わずか一本のプレーニングであった。
Footnotes:
あとでこのとき、アップルストアにアクセスしてアプリをダウンロードすれば、よかった、と気づいたのだが——それでも結局、だめだった。アップルストアからもなくなってしまっていたのだ。