2013年10月23日水曜日

新房昭之監督「魔法少女まどか☆マギカ」

 かなりの周回遅れで「魔法少女まどか☆マギカ」を観た。
 あちらこちらで大絶賛で傑作といわれているのも知っていたのだけれど(=>『魔法少女まどか☆マギカ』最終話感想(ちょいネタバレ?))、あまり食指は動かなかった。「魔法少女」というタームと絵柄だけでちょっと忌避していた。どうせ、と先入観もあった。ご都合主義のファンジーでしょ、と。今まで一本だって魔法少女ものを観たことなんてなかったのに。

 観る気になったのは監督が「化物語」と同じだと気づいたときだった。
 第3話まで観ると、一気に作品世界に飲みこまれた。もう止まらなかった。ほとんど一気観した。ようやく「化物語」から復帰したばかりだったというのに。また脳内リピートのしすぎで頭が痛い……。正直、ここまですごい作品とは思ってなかった。個人的には「2001年宇宙の旅」すらこえているじゃないか、と思うほどだった(一瞬、作中に「2001年 宇宙の旅」をおもわせるシーンがでてくる)。
 まさか諸星大二郎の「孔子暗黒伝」まで思い出すとは。
 おもしろさのタイプがちがうので比較はできないけれど、「化物語」よりも上かもしれない。ストーリーの練度が高い。それに「化物語」は「千石撫子」にたいする嫌悪感が強すぎてなぁ。もっとも「なでこメドゥーサ」でそれも解消されたけれど。

 話の密度の高さと無駄のなさは異常なほどで、驚いたのはカレンダーにつけられた印すら伏線になっていたことだ。気づいたときには愕然した。
 そして、とくに冒頭シーン。
 そのひっかけに気づいた瞬間、やられたっ、と声をあげてしまった。だまされたっ、そういう意味だったのか、と。なのでこの仕掛けをぼくはきわめて偏愛しているのだが、なんと劇場用に再構成されたとき、カットされてしまっているらしい(Wikipediaによると)。圧縮不可能なほどの密度の作品を圧縮したのだからしかたがないのかもしれないけど——それでもそれはとても悲しい。
 好みが一般的でないことは自覚しているけれど、あの仕掛けを偏愛している人間としてはとても残念だ。

 そして、完全新作の劇場第三作がやってくる。
 また、ぼくに泣けというのか。今でもこの文章を書いているだけで泣けてくるのに。