田中徳三監督「眠狂四郎 殺法帖」
三隅研次監督「眠狂四郎 勝負」
長谷川安人監督「集団奉行所破り」
偏見だったのかもしれないなぁ。かつて日本映画が黄金期といわれていたころの映画——一部をのぞいてつまらないものばかりだ、という。それは観たことがないくせに抱いていた偏見だったのかもしれない。
このところ、なぜか、そのころの映画を立て続けに観ていて——田中徳三監督「眠狂四郎 殺法帖」(1963年)、三隅研次監督「眠狂四郎 勝負」(1964年)、長谷川安人監督「集団奉行所破り」(1964年)——そう痛感した。一部をのぞいてつまらないものばかり、というのは拡大解釈すれば、たいがいのことには当てはまってしまうのだけれど。
「眠狂四郎」はまぁ、原作が柴田錬三郎だから存外、おもしろいのかもしれない。などと考えていたのだけれど、オリジナル脚本とおもわれる「集団奉行所破り」も非常におもしろかった。よくできていて展開もはやく、意外性に富み、伏線やひっかけが縦横に張り巡らせてあるし、キャラクターも魅力的。セリフもいい。はっきりいって好みだ。しかも伏線を張りながらそれをわざと回収しない、という高度なことまでやっている。
いやあ、あなどれない。