2013年9月23日月曜日

カイザー・ファング「ヤバい統計学」

 カイザー・ファング「ヤバい統計学」

 リーマンショックのころだったか、アメリカ人はクレジットカードを何枚ももっていてそれで借金まみれだ、と何かの特集番組で見たことがある。それはアメリカ人が享楽的な生活をのぞみ、先のことを考えないからだ、というような話だった。何でもクレジットで払うので借金をしている意識が希薄だ、と。また、どこかのブログではそれはアメリカ人はアニマルスピリットが旺盛だからだ、とも。
 ふーん、そんなもんかねぇ、と思っていたのだが、どうやらアメリカにはクレジットスコアというものがあるらしいことをこの本で知った。クレジット会社が社内で顧客の信用リスクを計っているものではなく、横断的に様々な情報を元に信用リスクを評価する会社があり、それをクレジット会社は利用していて簡単にクレジットカードがつくることができる、という。
 目からウロコ。
 そんなものがあるならクレジット会社はコストを削減できるだろうし、利便性も増すだろう。家のローンでも使用されている、というし。なんだ。アメリカ人はクレジットカードを何枚ももったりして借金まみれになっているのは文化的な話でもなく、ましてアメリカ人の性格でもなく、たんに社会的な仕組みが原因ってだけの話じゃないんだろうか。実際、クレジットスコアが導入されてからクレジット利用者は増加しているという。
 ほかにもいくつか、目からウロコが落ちたことがあった。
 アメリカでもやはり自白は物証より重要視されてしまう、とか。なんとなく、アメリカでは自白強要による冤罪はすくない、と思っていたんだよねぇ。訊問の透明性が担保されていて。
 でもちがうんだ。そうか。そうなんだ。