自炊で電子書籍化しようと考えたのは去年の東日本大震災がきっかけだった。それまでは自炊のことは知っていたけれど、今いち興味がもてず、本を裁断する気にはなれなかった。
それが地震でひっくり返った。
文字通り地震で本棚がひっくり返り、もし部屋にいたら本を詰めたプラスチックケースが頭に直撃していたかもしれない、という状況を見て、やばいと思ったのだ。この次は死ぬかもしれん、と。
それに積読本が文庫で500冊近くあり(もっとかもしれない)、その置き場にこまってダンボール箱に詰めて押し入れにいれていたのだが、そうすると、何を所有しているのか、すっかりわからなくなってしまった。
パソコンの画面で一覧を見れれば、それもなくなるだろう。
幸い手元には馬券購入のためのiPad2もある。
お立ち台に接続した2TBのハードディスクもある。
それでも先行投資する金をなかなか捻出できず――おもに気持ちの問題――、ようやく年末に一大決心してScanSnapと裁断機を購入した。今度、引っ越しするときにまた、大量の本を(しかも読んでない)運ぶのはもう嫌だ、と考えたのである。
一ヶ月、毎日、しこしこと自炊してようやく文庫本300冊ほどを電子書籍化したのだけれど――ただ、スキャンするだけならもっと早いのだが、OCRもかけているので――、がっくりくるのは自分の買った本の情けなさ。なんだろうね。何を考えてこんな本を、というのもあるし、同じ本が二冊あったりするし、当時は読みたくてしかたがなかったのに今はもう、という本もけっこうある。
まさに過去の自分の情けなさの現身。