デジタル表示の時計が出回りはじめたのは高校生のころだったと思う。
文字盤がぱたりと、めくれるタイプだった。
時間の把握がうまくできなくてこまった記憶がある。まだ、二時だ、二時だと思っていて二時五十九分までぼんやりしていたらいきなり三時になって時間ないじゃん、となっていたのだ。アナログだと残り時間が量で一目瞭然なのに、デジタルだと換算しないといけないので不便だな、と思っていた。
最近、小物を整理していたらアナログ時計がでてきた。
電池を入れ替えたところ、ちゃんと動いた。
時刻を合わせた。
——あれ?
どうしてだろう。時間がうまく把握できない。
一瞬、何時何分なのか、わからなかったのだ。目が点である。
デジタル表示に馴れすぎてしまった、ということなのだろう……。
なんだ、高校のころのあれは、結局は馴れだったのか。