2017年1月16日月曜日

押井守/笠井潔「創造元年1968」

 押井守/笠井潔「創造元年1968」

 元々、押井守も笠井潔も好きな作家だったのでこれは読むしかないでしょう。「押井言論」の中で笠井潔の「テロルの現象学」がでてきていて意外な感じを受けてもいたし。

結果的に映画監督になったときに初めて、高校時代に妄想していた永遠の非日常とか、「廃墟からもう一度やり直すんだ」という、ある種の虚構を実現できる立場に立ったんだという自負が生まれた。それで『機動警察パトレイバー』や『人狼 JIN-ROH』、『スカイ・クロラ The Sky Crawiers』をつくったわけです。みんな忘れて生きていたけれど、実は続いていた戦争をあぶりだしたり、なんとか今の日本を違う場所で覆したいという衝動でつくった。

–– 押井守/笠井潔「創造元年1968」(p 54)より

 という押井守の言葉にはさらに意外な感じを受けた。たしかに「パトレーバー2」にはそういう要素はあるけれど、あまり押井守に廃墟願望のような要素を感じたことはなかった。たぶん「やり直す」という部分がちがうのだろう。廃墟にして終わりという塚本晋也に出会ったまさに同じころに押井作品と出会ったということも遠因かもしれないが。