2014年6月18日水曜日

アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督「恐怖の報酬」

 アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督「恐怖の報酬」

 しみじみいい映画だった、と思い返している。
 手に汗握る傑作だということは聞いていたし、いつか機会があったら観たいとも思っていた。しかし、フランス映画だったとは。
 ニトログリセリンをトラックで運ぶ、ということ自体は有名だけれど、ミソはそれを二台で運ぶ、という点だ。先行車と後続車の状況が互いにサスペンスを高める。へたな映画なら先行車が後続に罠を仕掛けたりしそうなものだが(主人公は後続)、そんなことはいっさいなく、むしろ協力的で危い所には目印を置いていったりするのだ。
 すばらしい。
 そのことがひとり目的を達成した主人公に苦いものをあたえている。
 そして、個人的にはこの映画の中で一番、こわかったのは目的を達成したあと——。よくある終わり方なのだけれど、思わず、うわー、やめてくれー、といってしまったほどだった。
 いやぁ、フランス映画だなぁ。