いやあ、驚いた。
「12人の優しい日本人」は「十二人の怒れる男」を元にしたものだろう、と思っていたけれど、ここまで換骨奪胎しているとは。予想以上だった。もちろんパクリとか、そういうレベルでは全然、ないのだけれど、登場人物のキャラ設定とか、あきらかに、おそらく意識的に流用されている。
見事な換骨奪胎で、すげーな、三谷幸喜、と思ってしまった。
時代背景のせいもあって個人的には「12人の優しい日本人」の方がおもしろい。
もちろん「十二人の怒れる男」も傑作であることに異論はないのだけれど、実はもうひとつ原因があって、作中で証言の不備をつくロジックに一カ所、どうしても納得できなくてラスト、最後のひとりが意見を翻すシーンが、苦いものに思えてしまったのだ。まるで同調圧力に屈っしてしまったように。
悲しかった。
おそらく作品の意図とはちがう意味で。