*Sail:NEIL PRYDE Expression 6.7 Board:NG ACP 260
午後近くに出発したせいもあって本栖湖湖畔に到着したのは二時を回っていた。計算外で盆休みの移動がすでにはじまっていたようで、あちらこちらで渋滞していたのである。
FUNビーチは平日だというのにそこそこの人出だった。
すでに何人ものセイラーが湖上にでている。ほとんど風はなく、浮かんでいるだけの状態だったけれど。あかんなぁ、はずしか、と嘆きながら車へもどる途中で見知った顔とすれちがう。野村さんであった(たぶん)。声をかけると向こうもなんか知った顔がいるなぁ、と思っていたらしい。
もしかしたら三年以上ぶりではないか?
「やめてたんじゃないのー?」と笑いながらいわれた。
いや、やめたも同然の状態だったですがね。土日が競馬で潰れているもので。金もなかったし。
二年ぶりです、とぼくはいったけれど、よくよく調べてみると、ちょうど一年ぶりぐらいだった。三年ぐらいウィンドしていない気分なのだが――ウィンド原因の腰痛が治ってしまうほど。
だめみたいだけど、一応、準備だけでもしておこうかなぁ、とセッティングを開始。あちらこちらのチャックが潮で噛んでしまっていて片っ端から壊れてしまった。あーあ。しかたねー。
それでもなんとか、リグを組み立て終ったそのとき、東方向の曇った空から腹に響く雷鳴が――。
湖上の十数枚のセイルがさすがにビーチへ移動をはじめる。
終わったか。
終了。ジ・エンド。ついてないときなんてこんなもんだ。
雷鳴は北の空からも聞こえてくる。包囲されたような感じ。しかし、本栖湖へは近づいてこなかった。やがてほんのすこし吹きはじめた風にセイラーがふたたび、湖上へ。雷鳴は聞こえなくなった。
ぼくも湖上へ。
それにしてもこの出張った腹は何だ?
まったく自覚はなかったが、パンツに締め付けられてまるでボンレスハムのようではないか。
風はまったく足りなかった。
時折、走り回っているセイラーもいるが、どう見ても体重の軽い女性か、幅広ボードにでかセイルという組み合わせ。それでも彼らにしてもブローをつかんでようやくという感じだった。
FUNビーチの吹き出し口にはなんとなく、風がたまっているように見えるのだが、届くブローはどれもカスばかり。湖上をうろうろし、ビーチで休み、ぼくにできることなど何もなく、ふたたび、湖上の人に。なんとなく、心なしか、ブローがきているような気がする。
吹き出し口めざして風上へとろとろと上る。
きた。
ブロー。
あと五メーター、吹き上がってくれ。
もうすこし。
ハーフプレーニング。オンハーネス。テイルをひきずりつつ、祈るような気分。ぎりぎりでフルプレーニング。一年ぶりのプレーニング。両足ともフットストラップ。もっと吹いてくれ。ブローの端がすぐそこだ。
重い。
おれが重い。とても重い。
気づくと、失速していた。
それからしばらくブローがぽんぽんと入ってきたのだけれど、ほとんどあとちょっとでプレーニングできるのにっ、と状態だった。ポートタックがとくにひどく――セッティングも悪く、腕もなかった――、泣けた。
それでも一本、ふたたびスタボータックでプレーニングすることができ、しかもジャイブした。
そして、それで終わりだった。
それから粘ったが、風は上がりそうで上がらず、気だけもたされて本日のウィンドは終了したのだった……。
20110809本栖湖 at EveryTrail
セーリング時間:1時間48分
セーリング距離:6.2km
平均艇速:3.4km/h
最高艇速:33.6km/h