たしか直接、「
ブルークリスマス」を観に行くきっかけになったのは星新一だったような気がする。奇想天外というSF専門誌で星新一が褒めていたのだ。元々、そのころはわりと映画を観に行っていたので、ロードショーを観に行った。今でもラストの竹下景子のシーンはよく覚えている。SF映画にしては特撮などなく、ドラマをたんねんに積み重ねた映画だった。
その映画館で印象的な予告編を見た。
「犬の時代は終わり、猫の時代が始まった――」
たしか、そのようなナレーションが入った予告だった。かっこいい。絶対、この映画、見たい、と思った。ところがそんなことをすっかり忘れて日常に埋没し、後年、レンタルビデオで押井守の「紅い眼鏡」を観てむちゃくちゃ気に入ったにもかかわらず、その予告編が「
紅い眼鏡」のものであることにまったく気づかなかった。
気づいたのはさらにそのあとで、ふと「紅い眼鏡」のことを思い出し、「ブルークリスマス」のときに観た予告のことを思い出したのだった。
――あっ。
てなもんだ。
「紅い眼鏡」は人にはあまり勧められない映画だけれど、一応、ぼくのベストテンに入る――そして、「紅い眼鏡」を観たころ、別の衝撃的な映画と出会った。
塚本晋也の「
鉄男~TETSUO THE IRON MAN」である。
1990年のことだった。