2011年2月11日金曜日

永井豪「激マン!」

永井豪「激マン!」(1)

永井豪「激マン!」(2)

自分が生きた証拠にこの世に自分のマンガ作品をたとえ一作でも描き残すと!

 その決意は死を実感したときから――自分は死ぬかもしれない、と考えたときからはじまったのだ、という。それにたいして不思議な気分になるのはだれもでも人生で一度は『死』というものを実感するものだろう……なのに、多くの凡夫はただ何事もなく、生きていくだけなのに、永井豪は永井豪になった。
 今まで死をすぐそばに感じたことは何度か、あるが、この世に自分の生きた痕跡を残したいと思ったことは一度もない。死んだら無に帰るだけだろう、という想いの方が強いのだ。そのあたりが凡夫である証拠なのかもしれないが。
 はじめて『死』を感じたのは小学四年のときだったと記憶している。
 そのとき、ぼくは習字塾で席が空くのを順番待ちしていた。
 ふと、何の気まぐれか、死を想像しようとした。
 死とはどんな状態なんだろう、と。
 五感とひとつひとつ、消していき、何も感じない暗闇の中に浮かんでいる自分というものにたどりつき、そこからさらに思考すらないのだ、と進んだ。この想像する自分すら存在しないのだ、と。そこまで限界だった。恐怖に目が見開いた。
 わーっ、と叫び出したい気分。
 あたりの人間の肩を叩きまくり、こわかったよーっ、とまくしたてた。まわりの人間はきょとんとしていたが。