2011年2月10日木曜日

ニック・レーン「生命の跳躍――進化の10大発明」

生命の跳躍――進化の10大発明

 訳文がいまいちのなのか、原文がそうなのか、それともこちらにリテラシーがないだけなのか――所々、意味の把握できない文があったのだけれど、ひさびさに興奮させられた一冊だった。やはり科学はおもしろい、と。
 とくに真核細胞の核膜についての知見には驚嘆してしまった。
 核――DNAが核膜によってほかから隔離されているのはDNAを守るためだとばかりずっと思っていた。生命の設計図たる遺伝子が壊れないように保護しているのだ、と。それが実はそうでない可能性があるという――詳しい内容については本書を参照して欲しいのだけれど、思わず唖然となってしまった。
 自分の知っていることがすでに古いものになっているのだ……。
 ポパーではないが、科学は永遠に自己更新を繰り返すシステムなのだな、と。科学と同じように世界を語る言葉であるはずの宗教が容易に原理主義や教条主義に陥るのに反して。
 まるで進化をくりかえす生命のようではないか。