2010年4月9日金曜日

カーナビとしてのiPhone

 ぼくの車にはカーナビがついていない。
 たしかに御前崎へ行ったり、本栖湖へ行ったり、湘南へ行ったり、三浦に行ったりするわけだからカーナビは便利かもしれない。車を買うときにたしかにすすめられた。しかし、購入はしなかった。
 理由は簡単だ。必要性を感じなかった。
 あちらこちらへ行くけれど、それはある意味、日常的に行くのでルートは確立している。カーナビに案内してもらう必要がない。新しいところへ行くにしても前日に地図でルートを想定するのでやはり必要性を感じない――というか、空間的に把握せずにカーナビに従って走るのは気持ちが悪い。
 それでもあれば、と思うこともある。
 道の迷ったときだ。
 現在位置がわからないとき。
 しかし、なぁ、そんな、いつ起きるか、わからないときに備えてカーナビを購入する気にはなれずにいた。
 それがこの間、本栖湖の帰り――中央高速で帰ったときのことだ。
 実はこのルートは初体験だったのだが、それほど心配してなかった。高速は案内をきちんと追っていけば、大概、目的地にたどりつけるものだ。ところがふと気づくと、地下を走っていた。首都高速にはいったところでだ。
 しまったぁ、首都高速に新しいところができた、とは聞いていたが。
 これかあっ。
 案内板はあるので向かっている方向はわかるが、東名高速――ぼくの頭の中ではその方向は正しいのだが、何か、嫌な予感を覚える。
 それで思い出したのがiPhoneだ。
 iPhoneにはマップというGoogleマップと連動したアプリがある。iPhoneのGPS機能をつかったものだ。起動した。3G回線に接続できたことはラッキーだった。
 見ると、現在地は池尻大橋になっている。
 想像と全然、ちがう!
 激しく動揺してきっと地下なのでGPSの電波が届いていないのだ、と考えた。
 この考えはあのぶどうはすっぱい、だった。つまり現状から目をそらしただけ。
 GPSの電波が届いていないのなら池尻大橋自体がでてくるわけないじゃないか。
 現在地は池尻大橋だ!
 ありえない! と思いつつもようやくそのことに気づいた。動揺しながら現状を受け入れて東名行きとは反対のルートを選択した。かなり気持ち的には思いきった判断だった。
 というのも想像ではこの先、東名行きの途中から渋谷行きと目黒行きに別れるはず、と思っていたからだ。そこで目黒行きへ向かう。それが目算だった。だからこそ東名行きを選択して走っていた。ところが池尻大橋は目黒に行かず、渋谷行きのルートを選び、なおかつ通りすぎなければ、あらわれてこないはずなのだ。つまり結論! ぼくはまちがっている!
 おかげで間一髪のところで帰りのルートへ戻ることができた。あのままだったら東名に乗り入れるしかなくなっていた。
 これもiPhoneのおかげだ!
 そうしてこの機能があるならカーナビはやはりいらないじゃないか、と思った次第。