2020年5月21日木曜日

笠井潔「新版 テロルの現象学――観念批判論序説」(2)

 今回、読み返して一番、驚いたのは——どうでもいいことなのだが——、浅田彰の「構造と力」からの引用があったことだった。えっ、まさか、書き加えたの? と思って1984年版をひっぱりだして確認してしまった。
 頭の中で次のような時系列になっていたらしい。

  1. 笠井潔「テロルの現象学」出版
  2. 浅田彰「構造と力」出版
  3. 笠井潔「《戯れ》という制度」出版

 「《戯れ》という制度」の中でポストモダン——浅田彰を批判していた(と思う 1)ので、なんとなく、「テロルの現象学」が上梓されたあとに、「構造と力」がきっかけで日本のポストモダンの隆盛が起きた、と思っていたのだ。考えてみると、「テロルの現象学」は1984年の出版なのだから80年代に起きたポストモダンとは充分に同時期だったんだ…… 2
 そもそも赤塚不二夫がたしか「 赤塚不二夫のキャスター」で浅田彰の「構造と力」をパロったときはまだ、「テロルの現象学」を読んでなかったんだよな 3。まったく浅田彰を認識していなかったんだろうけど(今もだけど)。だいたい浅田彰を認識したのは笠井潔の評論を経由してあのときのはあれはあれか、と気づいただけだしなぁ。

Footnotes:

1

本を所有してないので確認できないけれど。

2

調べたら浅田彰の「構造と力」は1983年に出版されていた……。

3

読んだのは1990年。