2020年5月20日水曜日

笠井潔「新版 テロルの現象学――観念批判論序説」(1)

 たしか、出版されてすぐに購入したはずだからもう7年 1になる。
 どんだけ積読んだよ、という話だけど、ひとつには新版じゃない「テロルの現象学」は読了済みだったということもある。同じ作品社からでていた本——真っ赤な本だ。新版だからといって内容が変わったわけでもないし——あとがきには文章を多少、読み易くしただけ、とある——、なぜ、購入したか、というと、書き下ろしの補論が読みたくてだったのだけれど、そちらも途中で挫折してすっかり積読してしまった。
 ようやく読了できた。

 実は一度読んだ本を読み返すことはほとんど、しない人なのだけれど、これだけはいつか読み返そうと思っていた。なぜか、というと、よく理解できなかったから。読み終えたときに、今、理解していることはたぶんこの本のごく一部で、しかも正しく理解していないかもな、と。
 それから笠井潔の評論本を読みつづけてようやくくりかえされるさまざまな断片からなんとなく、「テロルの現象学」の内容がうすぼんやりとわかったような気になっていた。今回、再読してそれがすべてひっくり返されるということはさすがになかったけれど、やはり理解不足を痛感した。
 今だにまだ、ちゃんと理解し切れてないような予感はあるけれど。

 いつか、再々読できれば、いいな。
 すくなくともドストエフスキィの「カラマーゾフの兄弟」を読んでから。

Footnotes:

1

奥付には2013年とある。