2015年2月16日月曜日

白井聡「永続敗戦論――戦後日本の核心」

 白井聡「永続敗戦論――戦後日本の核心」

 ここ数年、テレビで大平洋戦争がらみの特集を見るたびに違和感を覚えてしかたなかった。たとえば、広島長崎の原爆投下の話、東京大空襲の話……そんな特集がテレビに流れるたび、不思議だった。この被害者意識はなんだろう?
 戦争であった以上、加害者でもあったはずなのに——パールハーバーはまさにそうだ——それなのになぜか、そのことを伝える特集を観た記憶がない。いわく原爆投下で何万人が死んだ、東京大空襲では、ばかり。しかもまるで何かの天災のように——。米国の残虐な行為を責める論調もあまりお目にかかったことがないような。それはもしかしたら米国を非難したら自分自身もまた、加害者であったことに向い合わなければ、いけなくなるから。そういう話なのかもしれない。
 ——などと、考えさせられた一冊だった。
 とくに第二章の「第一節 領土問題の本質」は知らないことも多く、興味深く読んだ。