2013年6月3日月曜日

天藤真「大誘拐」


天藤真「大誘拐」

 ハリウッドのシナリオ・メソッドにミッドポイントいう考え方があるのだが、まさにそこで爆弾が爆発した。もちろん爆弾は比喩的な意味でだ。驚愕し、皮膚が粟立った。
 ——まさか、これほどだとは。

 元々、角川映画で「大誘拐」が映画化される前から噂は名高く、いつか、読んでみたいと思っていた。角川文庫にはいったころだと思う。ところがすっかり忘れていて20年以上が経ってしまった今、ちょっとしたきっかけがあってようやく読むことができた。さいわいなことに予備知識はほとんどなかった。——今まで何度となく、映画化やドラマ化がされているそうなのだが。
 それでも映画のCMでいくつかポイントのネタばらしをしていて実はミッドポイントもばらしていたのだが、すっかり忘れていたおかげでたすかった。驚愕してああっ、そういえば、そうだっけ、と思ったのだが、覚えていてもおそらく同じくらい驚愕していただろう。それほどよくできていて個人的にはツボだった。

 もし未読のままだったら何ともったいなかったことか。読めてよかった。
 そうしみじみと思うくらいの傑作だった。