2009年12月30日水曜日

アリス・シュローダー「スノーボール ウォーレン・バフェット伝」(上)(下)

スノーボール (上) ウォーレン・バフェット伝

スノーボール (下) ウォーレン・バフェット伝

 もしかしたら今年読んだ中で、ベストかもしれない。ベストスリーにはいるのはまちがいない。ウォーレン・バフェットを知らない人間が読んでどういう感興を得るのかはわからないが、個人的にはすばらしい一冊だった。
 しかも今まで様々なことを見聞きして(ほとんど読んでだが)、なんとなく描いていたウォーレン・バフェット像はうまく安定してなくて居心地が悪かったのだが、それがかちっと、はまったのはありがたい。たとえそれが現実のバフェットとちがっていたとしても。
 それにしてもでてくる人でてくる人――とくにパートナーシップをはじめて以降、みんな、頭が良い人間ばかりで少しばかりがっくりくる。ベンジャミン・グレアムやチャーリー・マンガーは当然としてとくにビル・ゲイツには驚嘆してしまった。パソコン業界を独占していたこともあって反感を覚えてしかたがなかったのだが、1990年に銀塩写真があやういことを見抜いていたことには驚くしかなかった。うつろな記憶でしかないが、当時まだデジタルカメラはそれほど出回ってなかったはずだ。カシオのAV-10がでるか、でないかのころだったような。
 やはり只者ではなかったのね、という感じだろうか。
 まぁ、でてくる人、みんな只者ではないんだけどね。バフェットグループの平均IQ160って何よ。

 そして、考えてしまうのは「学習」の価値だ。インターネット時代になっていろんな情報にアクセス可能になり、情報格差はなくなっているのかもしれないが――インサイダー情報のような投資情報に差がなくなり、だれもが同じ条件下にいるといわれるが、実はそうではないのかもしれない。発想や思いつきは頭の中の情報の組み合わせなので、情報がどこにあるか、アクセス方法がわかっていれば、いい、ただ、頭に知識をいれておくことは無意味だ、というのは嘘ではないか。むしろ「学習」の価値は増えているのではないか……と。