2011年9月9日金曜日

ルネ・クレマン監督「狼は天使の匂い」


 マイフェイバリットムービーのひとつ――だった。
 観たのは高校のとき。深夜放送のテレビでだった。感動し、以来、もう一度、観たいと思っていたのだけれど、なかなか、観る機会がなかった。何度か、ググってみたりして探したことはあるのだが、どこにもない。ビデオ化されていたが、売り切れ。レンタルビデオ屋でも見つけることはできなかった。
 DVD化もされてなかった。
 それが最近、ググったときにDVD化されていた。
 個人的には高額。あちらこちらのレンタルムービーをチェックしてみたが、レンタルされてなかった。しかたない。Amazonでポチッとな。

 もちろん不安はあった。
 なかなかDVD化されてなかったということは世間的な評価はそれほど高くないということだからだ。それでも村上龍や山田正紀がエッセイやあとがきで映画の名前を出していたりいる。そんなに外れではないはずだ。
 外れではなかった。
 しかし、何十年も美化された感動を納得させるほどではなかった。
 初見でなかったということも原因だろう。
 ラストのシーンは鮮烈に印象に残っているのでそこへストーリーが運ばれていくのはわかっていた。まったく覚えていないエピソードがいくつもあったが、多くのシーンは観ると、思い出した。
 高校のときは予備知識はまったくなかった。偶然、観た。そのときとはやはり、ちがった印象を受けてもしかたないだろう……。
 それともテレビ放映のときはざくざくとカットされていてそれが逆にストーリーを不明確にしてファンタジックな印象を与えていたのだろうか。
 もうマイフェイバリットではないのだろうか。

 しかし、今、こうして愚痴りながらも断片的なシーンを思い出しているうちに、しみじみと、やはり悪くないな……、と幸せな気分にひたっているのだが。