島田荘司「アルカトラズ幻想」(上) 島田荘司「アルカトラズ幻想」(下)
まぎれもなく小説だけど、これってほんとうに小説なのか?
思い返せば返すほど、異様で歪だ。話が、ではない(もちろん話自体もとんでもないのだけど)。小説としての構造が歪だ。こんなんありなのか?
小説を読んだことがない人間がはじめて書いた小説、というのならまだ納得できる。ところが作者は何十冊もの著作を持つ長老ともいえるベテラン作家だ。それほど、異様で歪だ。
しかもだ。
最初から最後までむちゃくちゃおもしろく、最後にはすべてが現実の中に着地してしまう。
こんな小説が世の中に存在するなんて。
唖然とするしかない。