ずいぶん年をとってからなのだが、お金って何だ? と考えこんだことがある。そのときの一応の結論はモノサシみたいなもの、ということだった。価値を計る定規。だからふたつのものの価値を比べることができる。
それなのに、お金のそのものに価値があるように感じるのはなぜだ。不思議だ。もちろんお金をつかってものと交換できるからなのだろうが。
どうやら自分の頭の中だけで捏造したにしてはそれほど、的外れだったわけではないらしい。
貨幣は次の三つの機能を満たすものだ、という。
- 交換の媒介
- 価値の尺度
- 価値の貯蔵
ああ、「価値の貯蔵」についても考えたことあるぞ。本書の該当個所を読んだときに思った。世の中に生み出される価値の分だけお金をつくる必要があるはずだ。しかし——このとき頭にあったのは農作物だった——、食されたり、腐ったりすると、それは消える。そのとき、お金は消えない。そのため、世の中の価値の総量と、お金の総量はバランスがとれなくなる……。
今にしてみれば、これはインフレやデフレのことを思考していたんだな、とわかるが、当時はそんな自覚はなかった(たぶん言葉だけしか、知らなかった)。
そんなことを考えていたため、ずっとポイントというものをどう考えれば、いいのかがわからなかった。マイレージとか。通貨と同じではないか。しかし、贋金として逮捕されたとか、聞いたことがなかった(「円天事件」はあるが)。手形とかあるしなぁ。それにかつての香港では銀行が勝手に通貨を発行していた、という。
そういうバラバラに考えていたことが、この本を読んで八割ほどすっきりした。
世の中、自分が疑問に思っていることにたいしてすでに考えられているものだなぁ。