2012年2月7日火曜日

エリック・マコーマック「ミステリウム」


 実は去年読んだ小説の中でベストはエリック・マコーマックの「ミステリウム」だった。たかだが27冊の中からだが。何の予備知識なしに読んだのが、よかったのかもしれない。今まで読んできた小説の中でもけっこうな上位に属する。
 つい先日、軽く読み直し、傑作の感あらた。
 それだけではなく、最初のときには気づかなかった「もしかしたら」という解釈に気づき、愕然とする。そうだ。そうなのかもしれないじゃないか。というか、そうだろう、と。


 それにつづいて「パラダイス・モーテル」を読んだ。
 おもしろい。しかし、個人的には「ミステリウム」の方が数段、好きだ。
 それはたぶん、「ミステリウム」の方がミステリーの構造を持っているからかもしれない。構造があるからこそ、それが崩れたときの衝撃が大きい。「パラダイス・モーテル」はどちらかというと最初から構造を崩している。構造が組み上がらないうちに崩して回っているような感じとでもいえば、いいか。
 そのせいもあってか、最後がどうしても予定調和的に感じられてしまった。別にそれが悪いというわけではないのだけれど。