デイヴ・アスプリー「シリコンバレー式 自分を変える最強の食事」
今まで一番、運動していたのは部活でグラウンドを走り回っていた高校三年間だった。70kgほどの体重は高校三年のときには72kgになった。身についたのは脂肪ではなく、筋肉だったらしく、卒業した直後、海で溺れそうになってしまったほど——中学のときの感覚で(高校三年間、一度も泳いでいなかった)海に入ったところ、身体があっさりと沈んでしまったのである。
人間は海水に浮くものとばかり思っていた。
筋肉は水に沈むのである。
社会人になった二十年ほど前には78kgあった。体脂肪率は不明だ。当時、体脂肪率を計ることができる体重計はまだ、なかった。
体重のことはあまり気にせず、生きてきた(つもり)なのだけれど、ウィンドサーフィンを一番、やっていた40代前半のとき(2010年頃)は体重82kg、体脂肪率25%というところだった。その後、一時期、90kgになりそうだった体重は——計ってなかっただけで実はこえていたのかもしれない——、最近、ようやく80kg前後までもどってきた。
これまでに何度か、ダイエットというか、食事制限をしたことはある。
20代後半にはロバート・ハース「食べて勝つ」の影響で炭水化物中心の食事にした(「ハイウィンド」で紹介されたいた)。蛋白質は肉を油抜きし、納豆、豆腐でとった。これはこれで効果はあって体重は85kgから77kgぐらいまで落ちた。ところが頭がぼーっとする、という弊害がでた。頭がうまく働かない、というか。これはいかん、と思って止めてしまった。
それでもずっと基本はこの炭水化物中心の路線だった。
完全に止めたのは「炭水化物を制限してみた」にある通り、炭水化物を摂った直後に爆睡してしまう、という体質の変化だった。2012年ごろ。で、炭水化物を制限するようにした。いわゆる低炭水化物ダイエットである。
体重は75kgまで落ちたのだが、尿に蛋白質がでたので止めた。リバウンドのせいか、体脂肪率が30%をこえるようになってしまった。まぁ、現実から目をそらすように体重計に載らなくなっていたので詳細は不明だが。
そんなとき、ネットで完全無欠コーヒーという記事を見かけた。デイヴ・アスプリー「シリコンバレー式 自分を変える最強の食事」 の紹介記事である。何でもバターを溶かしたコーヒーを飲む、というのだ。それが身体にいい、と。元々の発想はチベット僧のバター茶だという。それで気が引かれた。以前、チベット僧が乾燥した高地ではひんぱんにバター茶を飲む、というのをテレビのドキュメンタリーで観ていて興味を抱いていたのだ。一度、実際にバターをお茶に溶かしてみようか、と思ったほど。試さなかったが。
で、試しにひとくちサイズのバターをかじってコーヒーを飲んでみた。1
驚いたことに腹持ちがする。
これは小腹が空いたときにいいかも、と時々、やっていたら30%だった体脂肪率が、39%になってしまった。これはいかん。とりあえず、中止して本を読んでみることにした(ネットの断片的な情報だけやっていたのである)。
ケトーシスに関するネットの情報を加味して考えて朝食と昼食を完全無欠コーヒー(代替案)に切り替えてみることにした。
代替案というのは、デイヴ・アスプリー「シリコンバレー式 自分を変える最強の食事」 ではグラフェットバターを推奨しているのだが、適当なバターがなさそうだったからだ。しかもただ混ぜるのではなく、ブレンダーを使って泡立てるようなことまで書いてある。いくつか、試してみてココナッツオイルで代用することにし、コーヒーをいれた壜をシェイクして泡立てるようにした。たしかにオイルが泡立つと甘味がでる。
ついでに本の中で推奨している金属メッシュのコーヒーフィルターを購入してしまった(こんなものがあるとは知らなかった)。
一ヶ月ほどで80kgを切るところまで来た。
体重が落ちたことよりも驚いた変化があった。例年、冬季は乾燥肌に苦しんできたのだが——足首や脛、太股が血だらけになるほど掻きむしってしまっていた——、それがかなり、抑えられているようなのだ。今年が暖かいためかもしれないが、脛にでていた乾燥肌がひっこんでしまったので、完全無欠コーヒー(代替案)のおかげだろう。身体に入れる脂肪を替えたわけだからありうる。2
それと同じ話だと思うのだが、頭髪の抜け毛の量が半分ぐらいに減った。
ただ、本書で推奨されているいくつかは無視するしか、ないようだ(厳密にやるつもりはないのでいいだのだが。性格が適当なので)。とくに野菜で完全無欠といわれるものを試してみたところ——どうやらシュウ酸が多い食べ物(ほうれん草とか)ばかりらしく、結石持ちのぼくにはこれはきつい、ということがわかった。摂取すると、翌日、右脇腹が痛くなる。
それにしても脳は糖分しか、エネルギー源にできないもの、とばかり思っていたのだが、そうではなかったらしい。ケトン体(脂肪を分解して生成されるらしい)も利用できるらしい。酢酸もできる、とどこかで読んだこともある。よくよく考えてみれば、糖分しか、エネルギー源にできなかったら水も食料もなく、歩きつづけるラクダはどうなってしまうんだ、という話だった。——脳がないのか?
Footnotes:
このやり方はデイヴ・アスプリー「シリコンバレー式 自分を変える最強の食事」 によると、まちがい。しかもその直後にカロリーメイトを食べたりしていた。そのせいで血糖値をあげてイニシュリンを分泌をうながしてしまい、摂取した脂肪を体内に溜め込んでしまっていたのだろう。
この本を読むまで細胞をつくるために脂肪が必要だ、ということを知らなかった。蛋白質だけか、と思っていた。