2012年8月18日土曜日

トレヴァー・ノートン「世にも奇妙な人体実験の歴史」


トレヴァー・ノートン「世にも奇妙な人体実験の歴史」

 いったい人間は愚かなのか、偉大なのか――。
 医者のあいだで手洗いの習慣がなかなか根付かなかったのは有名な話だけど、最近では胃潰瘍の原因がピロリ菌だとわかってその治療法が受け入れられるまで13年もかかった、という話には唖然となってしまった。
 時計の夜光塗料の工場の話もしかり。暗闇で身体が光るなんてどれだけラジウムを知らないうちに摂取しまっていたというのか。
 いやはや――それにしても「壊血病に罹る危険があるのはほとんど人類だけ」であるとは。「大半のサルを含めてほとんどの動物がビタミンCを体内で合成することができる」とは。これって人類はサルと近縁ではないってことじゃないのか? やはりデズモンド・モリスの「裸のサル」は正しかったのか、とか、考えていたら後半にクジラもやはり、ビタミンCを合成できない、という。
 人類はいったん海にもどったサルというあの説は今、どうなっているんだろう。
 ぼくはけっこう真面目に信じているのだが。